「伝統の刺繍で自立を目指す」
今朝はパキスタンから、大地震からの復興に向けた女性たちの取り組みについてです。 パキスタン北部で起きました大地震。去年の10月に発生しました。7万人以上が亡くなりまして、一家の稼ぎ手を失い厳しい生活を余儀なくされた女性たちも少なくありません。
地震から10ヶ月、被災地の女性たちの間では今日本のNGOと地元政府の支援で伝統のカシミール刺繍を学び自立していこうという取り組みが始まりました。
パキスタン北部の被災地ムザファラバードです。今も1万人を超える人たちが避難生活を送っています。ここでは今、大勢の女性が伝統のカシミール刺繍の縫い方を学んでいます。
こちらはカシミール刺繍の絨毯です。ご覧のように草花など自然を取り入れたデザインや色の鮮やかさで知られています。刺繍の教室は2ヶ月前に始まりました。大地震で一家の稼ぎ手を失った女性たちの経済的な自立を促そうと日本のNGOが支援しています。
「手に職をつけてそれで生活が支えられるようになれば地域の復興も自然に遂げられるのではないかと思います(JADEスタッフ)」
刺繍教室に先月から通い始めたラジャさんです。
一日も早く伝統の技を身に付けたいと熱心に学んでいます。ラジャさんは大地震で夫と1歳の長男を亡くしました。今は二人の娘とテント暮らしを続けています。子どもたちのためにもお金を貯めて元の生活を取り戻したいと考えています。
「ここでは料理ひとつつくるのもとても大変です。(訓練生ラジャさん)」
この日、州政府の復興担当者が教室へやってきました。刺繍が売り物になるかデザインや品質をチェックして回ったのです。
「すごくいい商品ですよ。マーケットに出しても販売できるレベルに達していると思います。プロの作ったものと比べても遜色ありません(州政府復興担当者)」
「早く上手になってこの刺繍が売れるようになったら嬉しいです。そのお金は娘の教育のために使いたいですね(ラジャさん)」
大地震から10ヶ月。地域の伝統産業が被災した女性たちの自立を後押ししています。
というわけでスタジオにもカシミール刺繍を持ってきました。
これ、ベッドカバーなんですけども、こういう大きなものもあるんですよね。今ご覧いただきましたような女性が3人がかりで10日間かけて作ったんだそうです。よく見ますと、こういったところ、本当に細かい作業ですよね。
材料は日本のNGOが提供しています。現地では一枚3500円ほどで販売されているんだそうです。今後、製品の販売ルートが確保できれば女性たちが一般的なパキスタンの月収、日本円でいうと5,000〜6,000円ほどを得られるようになる見込みです。自立への道が開かれると期待されています。
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