ペルーに避難したベネズエラ避難民の保護・社会経済統合等での支援事業
カウンセリングを受けるベネズエラ避難民母子
背景: 南米ベネズエラは、世界最大の原油埋蔵量を有する国でありながら、近年では国家破綻の危機的状況に陥っています。年率百万パーセントのハイパーインフレに見舞われ、食料や医薬品が欠如し、2015年以来、約500万人といわれる国民が避難民となって国外へ逃れました(2020年3月時点)。
ペルーにはコロンビアに次いで南米第二位の約86.3万人のベネズエラ避難民が逃れています。ペルーに入国したベネズエラ避難民の約8割は首都リマを中心に生活し、その多くが難民申請をして定住を希望しています。最近では子供だけの小集団で国境を越える事例も増え、性搾取の犠牲になるケースも目立ちます。一部には飢餓状態にある避難民もいて、そうした危険を冒してでも国を離れるほどベネズエラ国内の経済状況は緊迫しています。
さらに2020年春に始まった新型コロナウィルスの感染は瞬く間にペルー国内全域へと拡大し、同国政府は国家非常事態宣言を発令し、全国境封鎖と国際線の運航停止、外出禁止令を施行し、経済活動の制限と人の移動を完全に禁止しました。現在も感染拡大とロックダウンを繰り返しており、市民生活への悪影響が続いています。
事業の概要: 保護(プロテクション)、社会経済統合分野での支援事業 2020年3月より、首都リマのベネズエラ避難民が多く居住する地域を中心に、ベネズエラ避難民の現地ペルー人社会への平和的で円滑な定着を目指し、専門家による難民申請や滞在許可証及び現地労働法などにおける法的アドバイス、並びに心理社会的カウンセリングを提供しました。大勢の難民の受け入れにより負担が増えている現地のペルー人の低所得層に対しても分け隔てなく支援することとしました。
法的アドバイスを受けた世帯は482世帯・計1,021人(ベネズエラ人883人、ペルー人138人)、心理的カウンセリング受けた世帯は534世帯・計1,661人 (ベネズエラ人1,445人、ペルー人216人)に及び、多くの人々に支援を提供することができました。 特に新型コロナウィルスの感染拡大防止措置によって都市封鎖が導入されたことで多くのベネズエラ避難民が職と住居を失ったことから、相談内容を法的アドバイスと心理社会的カウンセリングに限定することなく生活全般に拡大して実施しました。未曾有のパンデミックにおける危機的状況下で、日々変遷する人々のニーズに即応することができ、大きな効果を生み出したといえます。
また、ベネズエラ避難民とペルー人コミュニティーの関係構築を進めて社会統合と融和を促進するために、ペルー全地域と世界各地を結んでのオンラインワークショップや交流会・イベントを5回開催し、439人の人々が参加しました。イベントをオンライン化することでペルー全土からの参加が可能になったばかりでなく、世界各地を結んで同時開催できるというオンラインならではのメリットも生まれ、今後の取組みに新しい方向性をもたらしました。
(写真上)心理社会の相談を受けるカウンセラー |
(写真上)オンラインイベントの様子 |
*本事業は特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム(JPF) のご支援により実施されております。JPFの取り組みに関するより詳しい情報はこちらのウェブサイトをご覧ください。