2009年プロジェクト
【パキスタン・シンド州貧困農村地域における保健医療と公衆衛生、そのキャパシティビルディング支援事業】
本事業では、皮膚病、下痢、マラリア等の感染症の脅威にさらされている貧困農村地域の人々が健康的な暮らしを送ることができるよう支援します。
パキスタンのインダス川以西地域は従来から開発の遅れが国連等の報告書で指摘され、深刻な貧困問題を抱えています。この地域の生業は農業であり、農家及び農場労働者の通年の平均収入は世帯あたり月3,200-3,800パキスタンルピー程度です。これは、「1日あたりの所得が1ドル(一人あたり)以下」という国連基準の最貧困層に当たります。
多くの人々は地域医療と安全な飲料水にすらアクセスできず、また公衆衛生の知識が少ないため、病気から身を守ることができずにいます。
JICAとのパートナーシップによる本事業を通じて、保健医療の提供と公衆衛生教育の実施、水・衛生施設の整備を行い、人々の健康状態の改善に努めます。
≪具体的な取り組み≫ |
ミルプル村の「村レベルの衛生普及員」ズレハさんは3人の男の子を持つ若い母親。「公衆衛生ワークショップを通じて、子どもたちを病気から守る方法を学びたい」と意欲的。 |
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巡回医療チームによる診療の様子。女医の親身なカウンセリングは好評を博し、診療室の前はいつも長蛇の列。 | 建設工事に先立ち、住民たちへの説明会を開催(イスラム教に配慮し、男性は午前中、女性は午後の二部制で実施)。当日は300人以上が集まり、住民グループが建設施設をボランタリーに維持管理していくことに合意した。 | |
村の皮膚病の少年。不衛生な環境から疥癬、下痢やマラリア等が流行している。 |
プロジェクト担当者メモ 歴史の教科書でも有名なモヘンジョダロすぐ近くの本事業地はうららかな農村地帯です。農業以外にこれといった産業がなく、石油等の地下資源はあるものの開発の遅れと利益の再分配システムがないため、人々は資源の恩恵を享受できていません。それはとても残念なことですが、一方で公害や産廃等の問題と無縁、空気がきれいで手つかずのワイルドな自然がいっぱい、という良さもあります。 |
期間/2009年9月〜2011年9月末 地域/パキスタン・シンド州カンバル-シャハダコット県農村部 予算/約5000万円 連携団体/独立行政法人 国際協力支援機構(JICA) |